TECNOFORM JOURNAL

02 / JAPAN NOW

日本の3Dプリント住宅は
どこまで来たか

同じ『3Dプリント住宅』でも、印刷するもの、構造の成立方法、建てる場所、販売段階は異なります。三つの代表例を横並びにせず、違いから読みます。

最終確認日:2026年9月6日|構想・研究・実証・販売状況を区別して記載

先に結論

日本では実物施工、国土交通大臣認定、建築確認、受注・量産化の発表まで進んでいます。ただし、どの方式でもプリンターだけで基礎・構造・屋根・設備・仕上げのすべてが完成するわけではありません。

3社を「何を印刷したか」で見る

主体確認できた実装読むときの注意
Serendix2022年にSphere、2023年に2人世帯向けserendix50の完成を発表。Sphereのデザインは曽野正之氏とOstap Rudakevych氏(Clouds AO)。2026年6月には量産フェーズへの移行を発表。価格・納期・供給地域は発表時点で変わります。2026年の件数等は会社発表として扱います。
Lib Work2025年5月にLib Earth House model Bを完成。通常基礎の上で現場印刷した壁の内側に木造軸組を構築する、平屋モデル。「土を使う壁」と「主要構造」は同じではありません。会社ページは印刷工程と木構造を分けて説明しています。
大林組セメント系材料を用いる3Dプリンター建築「3dpod」を施工。構造形式について国土交通大臣認定を取得したと発表。研究・実証建築の成果と、一般向け住宅商品の販売条件は分けて確認します。

Serendix——短工期・量産を住宅産業へ接続する

2022年の発表では、球体のSphereを住宅商品として展開する構想が示されました。2023年には床面積を広げたserendix50の完成が発表されています。2026年6月の最新発表では量産段階への移行や受注状況が説明されていますが、これは企業による発表値です。

見るべきは外形の新しさだけではありません。輸送して組み立てるのか、現場で印刷するのか、基礎・鉄筋・開口・設備を誰が担うのかで、実際のコストと地域対応力が変わります。

工房で住宅模型と材料見本を照らし合わせる設計検討

Lib Work——土系材料と木造軸組を重ねる

公式ページによると、model Bは建築面積107.23㎡、延床面積97.93㎡の平屋。通常の基礎を施工し、現場で壁を印刷した後、プリンターを撤去して内部に木造の主要構造を組み、一般的な内外装工程へ進みます。

壁材料は土・石灰・天然繊維を用い、セメントを使わないと説明されています。環境負荷の数値は同社算定であり、比較条件を確認して読む必要があります。また、耐久性は実証棟や材料開発を通じて継続検証中とされています。

大林組——構造としての認定へ踏み込む

大林組は3dpodについて、セメント系3Dプリンター建築の構造形式で国土交通大臣認定を取得したと公表しています。意匠模型ではなく、構造安全性を制度上どう成立させるかへ踏み込んだ点が重要です。

建築3Dプリントを検討するための施工現場のイメージ

制度は「3Dプリンターだから」一括では決まらない

国土交通省は、新材料・新工法の一例として建設用3Dプリンターを挙げています。構造方法は建築基準法第20条、指定建築材料は第37条に関わり、方式によって大臣認定や個別の確認が必要です。印刷部分が建物の一部でも、全体の構造計画との関係で審査範囲が決まります。

見学時に聞きたい一問
「この建物で3Dプリンターが担うのは、仕上げ、型枠、非構造壁、構造体のどこまでですか」。この答えが、価格・耐久・法規・補修の見方を変えます。

一次情報・発表資料